介護現場の業務のICT化を進めていたが
- 一向にうまく行かない
- ICT化プロジェクト責任者が病んでしまった
- 現場からの反発が大きい
こんな悩みを解決できる記事を用意しました。
この記事を読んでいただくことで、介護現場のIT化における課題を理解し、どのようにICT化を進めていけば良いかを結論づけたいと思います。
大手から中小まで100社以上の介護事業者を見て、結論づけた内容ですので、かなり有益な情報かと思います。
労働力不足の日本の介護において、ICT化は必須です。
以下の順で説明しますので、最後までじっくり読んでください。
- ICT化が進まない理由①:お金がない
- ICT化が進まない理由②:人材がいない
- ICT化が進まない理由③:ITベンダーにとって魅力がない
- ではどうICT化を進めるか?
ICT化が進まない理由①:お金がない
介護事業会社は一般に営業利益率は数%程度と言われており、薄利の事業です。
日々の利益を確保し、事業を継続していくことは大変なことです。
昨今の労働力確保のための採用費・人件費の高騰、介護報酬の削減など、取り巻く環境もあまり良いとは言えません。
その中で、短期的な費用対効果の見えづらいICTに投資をすることはなかなか難しい現状があります。
特に資本力のない中小企業であれば尚更です。
ICT化が進まない理由②:人材がいない
ICT化を進める際はプロジェクトを作り、プロジェクト責任者が選ばれます。
このプロジェクト責任者の役割は当然重要なのですが、経験として以下の適性が全て求められます。
- プロジェクト責任者に求められること
- 介護保険制度も含む介護事業のことを理解する
- 介護現場の業務内容のことを概ね理解している
- 経営層へきちんとレポートができるプレゼン能力がある
- 介護現場で溶け込むことのできるコミュニケーション能力がある
こんなに?と思われるかもしれませんが、介護現場はITリテラシーの低い中高年以上の世代の方たちが多く活躍している場所です。
その中で経営層の期待や無理難題に応えていくには、介護への理解とビジネススキルが必要となります。
該当する人が周りに何人いるかと思い浮かべると、一人いるかいないかだと思います。
それぐらい希少な人材で、いわゆるエース人材が担当しなければ、ICT化はうまくいきません。
エース人材は既に重要な業務を任されていますので、その担当を外してICT化に専念させることが必要になってきます。
ところが、そのリスクを取りきれず、別の中途半端な人材が責任者となり、結局うまくいかないというケースが多々見受けられます。
ICT化が進まない理由③:ICTベンダーにとって魅力がない
介護事業は国が定めた介護保険制度に則って行われます。
ところが、介護保険制度の実務的な解釈はかなりの部分について各地方自治体にゆだねられています。
結果として、介護現場で何が起こっているかというと、A市でOKだったサービス帳票がB市ではダメといった現象です。
そのため、ICTを導入する際は、各自治体ごとに微妙にカスタマイズするか、人の手による運用でカバーするかのどちらかをしなければなりません。
そうやって、現場事情に応じながらきちんと導入を進めてしまうと、コストが高くなるため、ICTベンダーにとっては美味しくない案件になります。
そういう事情からベンダーは以下の2つのどちらかを選択をするため、導入がうまく進まない結果となります。
- ITベンダーの選択肢①:カスタマイズも運用サポートもしない(一つの標準製品のみで売り込む)
- ITベンダーの選択肢② :カスタマイズも運用サポートもするが、ローパフォーマーに担当させる
どちらの選択をしても、介護事業者の負担、現場の負担が増えて、うまくいきません。「とりあえずICT 化しました」という形だけのICT化となります。
ほとんどのベンダーは、彼らにとって一番儲かる選択肢①を強引に売り込んでくるので、ぼったくられないように注意が必要です。
ではどうIT化を進めるか?
覚悟を決めて、業界をリードせよ
ここまで、介護現場でICT化が進まない理由を見てきました。
かなり難しいハードルかもしれませんが、逆に言うとこのハードルを越えられれば、ICT 化は進み、あなたの会社がこれからの時代の介護業界リーダーになるチャンスを持っていると言えます。
多少の進捗に差があるかもしれませんが、どの介護事業者もIT化が進んでいません。
ITを使いこなせられれば、どの介護事業者にもチャンスがあると考えています。
結論としてやるべきことをまとめてみました。
- ①:十分な予算を確保すること
- ②:現場ー経営の両方の気持ちを汲み取れるエース人材を責任者に据えること
- ③:介護現場の負担を減らすことを考えてくれる良いICTベンダーを選ぶこと
- ④:1年などの短期間でのリターンを求めず、長期間での投資であることを経営・現場の全員が理解して進めること
- ⑤:上記を実現するための健全な財務基盤を持つこと
①の十分な予算を確保したり、⑤の健全な財務基盤を持つことは、中小企業にとっては難しいかもしれませんが、②~④については図体の大きい大企業よりもスピーディーにやりやすいというメリットもあると思います。
そして、最も重要なことは、短期的視点の利に振り回されず、長期的視点で介護事業を育てていこう・良くしていこうという経営者の覚悟です。
それができれば、あとはほとんどできたようなものです。
もし、それができないなら、「早く介護なんか辞めちまえ」と言いたいです。
ぜひトライしてみてください。
今回はICT導入までを解説しましたが、導入後は導入の評価・モニタリングが必要となります。
もし評価・モニタリングのやり方について分からなければ、以下の記事を参考にしてみてください。
【近日公開予定】介護経営で外せない3つの指標
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