この記事で解決できるお悩み
- 介護報酬制度の今後をざっくり知りたい
こんな経営者の悩みを解決できる記事を用意しました。
この記事を読んでいただくことで、介護報酬制度のざっくりした方向性を理解していただき、事業運営の参考にしていただければと思っています。
介護報酬制度については、学者先生や厚生労働省などのお役所の人が超わかりづらく解説しているものばかりなので、とにかく無駄を省きわかりやすく解説します。
記事では以下の順で説明しますので、最後までじっくり読んでください。
- 方向性①:基本報酬は下がる
- 方向性②:加算は現状維持以上だが、取得要件は厳しくなる
- 方向性③:報酬減が予想される2つのサービス
方向性①:基本報酬は下がる
介護報酬は基本報酬部分と加算部分に分かれます。
基本報酬と加算部分は分かりやすく言うと以下の通りです。
- 基本報酬:サービスを提供したら誰でももらえる報酬
- 加算:一定の要件を満たさないともらえない報酬
少子高齢化に伴う国の財政悪化のため、基本的には介護報酬は下がっていくと言われていますが、このうちの基本報酬は確実に下がっていきます。
特に要支援1~2、要介護1~2の軽度者に対する報酬は確実に下がっていきます。
実際に要支援1~2の訪問介護やデイサービスは総合事業という事業に移行されて、国は「軽度者の面倒は国では見ないから、各自治体でよろしく」というメッセージが既に出されています。
このように今後も軽度者を中心とした基本報酬部分は下がっていくと思われます。
方向性②:加算は現状維持以上だが、取得要件は厳しくなる
方向性①で示した通り、基本報酬部分は下がる一方で、加算部分は現状維持以上は担保されるのではないかと予想します。
特に以下の3つの加算は維持以上になるのではないかと予想しています
①:処遇改善加算
介護スタッフの給与などの処遇改善に使途を限定して支給される加算です。
現場の人手不足を食い止めるために、拡大していく加算ではないかと予想されます。
②:機能訓練に関する加算
リハビリなどを通じて機能維持・向上に寄与した場合、支給される加算です。
例えばデイサービスでいうと、個別機能訓練加算、ADL維持等加算等があります。
今後新設される可能性もあります。
機能維持・向上を介護サービス通じて実施することで、高齢者が極力自立して生きてもらい、介護報酬抑制につなげたいという国の方向性と合致します。
よって、機能訓練に関する加算については現状維持以上が予想されます。
③:重度者のケアに対する加算
文字通り、重度者のケアに対する加算です。
デイサービスでいうと中重度者ケア体制加算等が挙げられます。
有料老人ホームでいうと看取り介護加算、夜間看護体制加算等が挙げられます。
重度者に対しては、医師・看護師との専門的な連携が不可欠となる専門性の高いケアが必要となります。
国の姿勢は、軽度者向けの報酬を削減する代わりに、重度者はきちんと報酬を用意して介護を維持していくことです。
重度者向けの加算報酬が減額されることは考えずらいと考えています。
医療・看護関連の加算はたくさんあるので、ぜひ見ておいてください。
以上が拡張もしくは維持が見込まれる加算ですが、年々取得要件は厳しくなっておりり、実地監査などでもより厳しくみられています。
安易に取得すると介護報酬の返還、悪質な場合だと指定取り消し(=永久に営業停止)などの痛い目に遭いますので、ご注意ください。
方向性③:報酬減が予想される2つのサービス
今後報酬減が予想されるサービスの特徴は以下の2つです。
- 利益が出ているサービス
- 参入障壁の低いサービス
皆平等の福祉の精神から基本的には利益が出ているところから、削減します。
また、加えてきちんとした介護事業者にやってほしいという観点から、参入障壁の低いサービスは基本的には減少傾向となります。
以上の2つの条件に合致するのが以下の2つのサービスとなります。
- 住宅型有料ホームとサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)
- デイサービス
①住宅型有料ホームとサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)
届出制となるため、だれでも参入可能です。
訪問介護・通所介護を併設することで、結構高い利益を出しています。
すでに同一建物減算という形で、減額の処置を受けていますが、それでもまだ高い利益を出しています。
国からすると、報酬削減の格好の標的です。
②デイサービス
届出制となるため、だれでも参入可能です。
施設基準、運営基準も他サービスと比べるとゆるいため、実務的にも参入しやすいサービスとなっています。
地域によってはコンビニよりも多い地域もあり、介護サービスの中では珍しい供給過多のサービスとなっています。
結果として、施設ごとにサービスの良し悪しにばらつきがでるようになっています。
厚労省からすると良いデイサービスのみを残し、悪いデイサービスは排除したいと考えているかと思います。
よって、基本報酬は下げて、専門性の高い加算については拡張していくような動きになるのではないかと予想しています。
正しく加算を取得して生き残る
介護報酬の今後についてまとめると以下の通りとなります。
- 基本報酬は下がる
- 加算は現状維持以上だが、取得要件は厳しくなる
- サービスで言うと、住宅型有料ホーム、サ高住、デイサービスは報酬削減の標的として狙われているので注意
厳しい方向性と思われるかもしれませんが、その中で介護事業者が生き残っていくには、結局「正しく加算を取得する」しかないかと思っています。
そのために必要なことは、以下の通りです。
- 従業員を大切にして、安定的に確保すること
- 業務をデジタル化をして生産性を改善すること
です。
結果として、医療・看護分野と連携する専門性の高いサービスを提供していく余裕が生まれます。
加算という形で還元されて、利益もきちんと確保できるようになります。
本サイトでは、従業員の確保、デジタル化についても情報発信していますので、ぜひ参考になさってください。
【近日公開予定】効果のある離職防止対策トップ3
※参考として、厚生労働省が作成した介護報酬の推移や要介護認定者数推移などがわかるリンクを紹介させていただきます。
より詳しく介護報酬制度の現状について知りたい方はご参照ください。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg1/301030/shiryou3-2-2.pdf
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