外国人技能実習制度を使ってみたいが、
- 漠然とちょっと不安
- 外国人がサービス提供をして本当に大丈夫?
こんな悩みを解決できる記事を用意しました。
この記事でご紹介することを実践すれば、外国人技能実習生制度を利用する際のトラブルをかなりの部分回避できます。
大手介護事業者でも実施している方法なので、かなり実践的です。
記事では以下の順で説明しますので、最後までじっくり読んでください。
- 外国人技能実習生制度のざっくり概要
- 制度活用の前のチェック事項
- 採用基準
- 現場のスタッフには丁寧に説明をしよう
外国人技能実習生制度のざっくり概要
外国人技能実習制度とは
途上国の外国人が日本の介護施設で実習生として勤務し(最長5年間)、その後介護運営ノウハウを母国に持ち帰ってもらう制度です。
実習生にとってのメリット
①:実習生として働く給料をもらえるので、家族への仕送りができる
昨今では日本と途上国の賃金差は相当減ってきたものの、やはりまだまだ差が大きくあります。
賃金面ではやはり日本はまだ魅力的な国のようです。
平均年収比較 ・日本:37.5万円 ・インドネシア:1.7万円 ・タイ:8.4万円 ・フィリピン:4.0万円 ・ベトナム:3.8万円 ・マレーシア:9.1万円 ・日本(最低賃金ベースの月収):15万円程度 ※参照元データ:https://www.stat.go.jp/data/sekai/pdf/2022al.pdf#page=218
②:母国に持ち帰って、介護事業を展開し、母国の経済成長に寄与できる
母国の発展・経済成長のために寄与したいという夢を持っている実習生もいらっしゃるようです。
日本で得た介護ノウハウを母国へ移植し、独立起業を目指しているようです。
介護施設側のメリット
①:人手不足の解消
実習生は国を代表して、家族を代表して勤務してくれるので、非常にモチベーションが高いです。
さらに、基本的には、ほぼ最低賃金で5年間確実に働いてくれるので、労働力不足にとって悩む介護施設側としては、非常に貴重な戦力となります。
②:従業員のグローバル感覚を養うことができる
介護事業は基本的には日本だけで行う事業ですが、実習生を受け入れることで、グローバル感覚を養うことができます。
長期的な人材育成につながる可能性をひめています。
ここでは、ざっくり解説しましたが、もっと制度の詳細を知りたいという方は以下をご参照ください。
外国人技能実習生制度(外部サイト)
https://willof-work.co.jp/journal/1610/
制度活用の前のチェック事項
技能実習制度活用の前にこれだけは抑える必要があることをリストアップしました。
きちんとした監理団体を選びましょう
技能実習制度を利用するには、原則として監理団体を利用する必要があります。
悪質な監理団体を選定してしまうと、実習生のレベルが低く、実習生が逃亡したりするリスクがあります。
個々の監理団体の実態・実績を調査するのはもちろんのこと、複数の監理団体を比較したりして、優良な監理団体を選ぶようにしましょう。
親日国を選びましょう(考え方は色々あると思いますが・・・)
対象国が日本に対して敵意のない国を選ぶようにすることは必要です。
第二次世界大戦・冷戦などを経て、歴史的に難しい問題を抱え、さらに現在において外交上でトラブルを抱えているような国は避けた方が無難かと思います。
信仰する宗教に対して理解を深めましょう(信仰する事に自由は有りますが・・・)
途上国においては様々な宗教を信仰しています。
宗教によっては、私たち日本人には理解しがたい、ルール・習慣・生活様式などがある場合があります。
それらを調べ、受け入れることができるかを現場責任者までが納得していることが必要です。
難しいようなら、私たち日本人が馴染みやすい宗教圏などの国を選んだ方が無難かと思います。
採用基準
先述の最低限のチェック事項をクリアしたら、あとは監理団体と協力して現地の送り出し機構に所属する実習生を採用していきます。
当然他社・他業種との競争にもなりますので、あまり採用基準を高くしてもよくないのですが、以下の3点はきちんと見たほうが良いと思います。
①:日本語でスムーズにコミュニケーションができること
当然ですが、日本語のコミュニケーションが一番重要です。
ところが、現地の送り出し機関・管理団体は介護に関する知識・スキルの方が重要ではないかと考えている場合もあります。
介護事業者側としては、「介護に関する知識は日本に来てから教えるので、とにかく日本語のレベルアップに注力してほしい」というスタンスを明確にした方が良いと思います。
採用面接のスキルチェックとしては、介護に関することよりも、日本語のコミュニケーションについてのみ確認すればよいかと思います。
②:笑顔が素敵であること
日本語でのコミュニケーションに問題がなかったとしても、やはり私たちネイティブと同じコミュニケーションはできません。
特に介護現場は”なまり”の強いザ・日本語ネイティブスピーカーのおばちゃん・おじちゃんがほとんどです。
どうしてもうまく意思疎通ができず、利用者さんや他日本人スタッフから不満が出てしまうかもしれません。
そんな時助けてくれるのが、やはり笑顔です。
この人の笑顔だったら、多少のミスは許してもらえるだろうなと思える人を採用することが必要です。
顔の好みとかでも別れるので、面接官は複数で行うようにしましょう
③:チームワークを大切にしていること
技能実習生は数名~数十名単位で来日し、集団生活をしながら、それぞれの介護施設へ勤務をします。
その中でホームシックにかかったり、仕事を覚えられなかったりする実習生がどうしても出てくることがあります。
そんな時頼りになるのが、同じ実習生の仲間になります。
この横のつながり、チームワークが突然の失踪や、ギブアップして帰国することを防いでくれます。
技能実習生は基本的には「家族を養いたい」「母国に貢献したい」という非常に強い思いがあり、モチベーションが非常に高いです。
基本的には良いことなのですが、その副作用としては、やや自分中心な行動をとってしまう実習生がしばしばみられます。
そういう人を採用してしまうと、結果として良くない方向に行ってしまう可能性が高くなります。
採用面接では「変に我を押しすぎるところはないか?」「周囲を歩調を合わす努力をしているか? ?」という所作を確認するのが良いかと思います。
受け入れる事業所のスタッフには丁寧に説明をしよう
とにかく現場日本人介護スタッフとのコミュニケーションが重要です。
引き受け側の介護スタッフには(世界の文化、民族、習慣を学ぶ)新しい体験を理解してもらいたいという説明もしましょう。
丁寧に説明をしないと、手間が逆に増え、現場の不満が爆発してしまいます。
以下は実務経験者へのインタビューの内容です。
介護保険制度がない国が殆どなので、「何故その仕事を今しなくていけないのか、必要があるのか」という疑問が多い。その仕事(=介護サービス)で私達は給与を得ている事を最初のオリエンテーションで理解してもらうことが重要。特に社会主義色の強い国の実習生は、サービス業の考え方がないので、より丁寧に説明をする必要がある。
南国系の国の実習生は明るく楽しく働くが、自己本位になり、介護サービスと理解しない所が有る。
人手不足解消の切り札の一つ
外国人技能実習制度は少子高齢化の中の、介護事業者にとっては切り札の一つです。
制度をきちんと理解して、今回説明した以下の項目を一つ一つクリアしていけば、過度に恐れる必要はありません。
- 制度活用の前のチェック事項
- きちんとした管理団体を選ぶ
- 親日国を選ぶ
- 宗教に対する理解を深める
- 採用基準
- 日本語でのコミュニケーション(介護に関する知見は不要)
- 素敵な笑顔
- チームワーク
- 受入時は現場スタッフに丁寧に理解を求める
労働力不足解消の一つの施策として活用してみてはいかがでしょうか?
今回は人手不足の対策として、外国人技能実習生制度について解説しましたが、他の対策としては、ICT化によって人手不足を補う方法があります。
以下の記事では介護現場のICT化について解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
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