デイサービスを運営しているが
- 業績を改善させたい
- 施設系サービスはうまくできるが、デイサービスだけがうまくいかない
- 何をやってもうまくいかない
こんな管理者・経営者の悩みを解決できる記事を用意しました。
この記事を読んでいただくことで、デイサービスの業績向上のヒントを得られると思います。
市場構造が他の介護サービスと全く違う:供給過多の買い手市場
実はデイサービスは他の介護サービスと違う点があります。
スタッフの確保が難しい等、供給が不足する超売り手市場の介護業界の中で、唯一、供給過多の買い手市場のサービスである点です。
デイサービスは施設基準、運営基準もそれほど厳しくなく、参入障壁は極めて低いサービスとなっています。
参入障壁の低さと少子高齢化市場に目をつけて、デイサービスを通じて介護市場に参入する事業者が乱立しました。
それに負けじと既存の介護事業者も新規出店を加速させて、結果として供給過多の状態となってしまいました。
地域によっては、コンビニよりデイサービスの方が多いところもあります。
基本的には供給不足の介護業界においては、従業員をきちんと確保し、安定的にサービスを供給することだけで十分強みとなりますが、デイサービスの場合はそれに加え、「集客」をきちんとしなければなりません。
※他のサービスでも集客は必要ですが、デイサービスと比べると重要性は圧倒的に低いです。
いわゆる「福祉の心」みたいなことを謳っているだけでは、集客は難しくなります。
その中で必要な戦略は「差別化戦略」となります。
この記事ではデイサービスの戦略の作り方・実行について以下の順で説明しますので、最後までじっくり読んでください。
- 差別化戦略の作り方・実行のための3ステップ
- スローガンを決める
- 従業員・ケアマネに伝える
- 半年間続けてだめなら、スローガンを変える
ステップ①:スローガンを決める
まずは管理者がスローガンを決めましょう。
決め方は「これだけは絶対に他のデイサービスに負けない」というものをベースにするのが良いと思います。
ポイントは1つに絞ると言うことです
- ×:ダメな例:入浴と食事と接遇が得意な機能訓練のできるデイサービス
- ◎:良い例:地域No1の機能訓練ができるデイサービス
ダメな例では入浴・食事・接遇・機能訓練の4つに言及していますが、良い例では機能訓練だけに絞っています。
ここが差別化戦略策定におけるポイントで、あれこれごちゃごちゃ言わないことが非常に重要になります。
供給過多のマーケットにおいては、とにかく「尖る(とがる)」こと、つまり差別化が重要になります。
「色々できます」と言っても誰も聞いてくれません。
むしろ「何もできません」と聞こえてしまうくらいです。
思い切って1つに強みを絞るとしたら、何なのか?ということをよく考えてみましょう。
ステップ②:従業員とケアマネに伝える
従業員へ何度も何度も伝える
ステップ①でスローガンを決めたら、それを従業員に伝えましょう。
強いチームはスローガンを土台にした取り組みを日々の業務の中で、根気強く続けます。
そして、全てのスタッフに浸透をさせていきます。
浸透させるポイントはとにかくスローガンを口にする・目にできるようにすることです。
「地域No1の機能訓練デイサービス」がスローガンなのであれば、
- 掲示する
- 朝礼で毎回口にする
- 面談でも口にする
などなど
たくさんの方法がありますが、リーダーが照れずにしつこく発信していくことが重要になるかと思います。
ケアマネへはとにかく絞って伝える
次に顧客であるケアマネにも営業の際に伝えていきましょう。
特に営業チラシ、パンフレットには、基本的にはスローガンに関する部分のみを載せるようにしましょう。
怖がらずに、ごちゃごちゃ言わず、スローガンに関することだけを推しましょう。
「地域No1の機能訓練デイサービス」がスローガンなのであれば、機能訓練に関するところだけをきっちりアピールするようにしましょう。
とにかく「多くを語らず、絞る」ということが重要になります。
ステップ③:半年続けてダメならスローガンの変更をする
スローガンを決めて、従業員に浸透させて、ケアマネにもそのスローガンの元、営業をしているにもかかわらず、業績が伸びない事業所がたまにあります。
その場合の理由はスローガンに市場・顧客ニーズがないということです。
いくらスローガンを浸透させても、スローガンそもそもにニーズがないのであれば、業績は伸びません。(今更ブラウン管のテレビに絞っても売れないと同じです)
その場合は、スローガンを思い切って変えましょう。
そして①②をもう一度繰り返しましょう。
あまりスローガンを変えすぎるのはよくないので、変更の際は慎重にやるようにしましょう。
1回くらいの変更は問題ないですが、2回3回と変更が頻繁になると、従業員・ケアマネからも信頼を失うので、注意するようにしましょう。
顧客のニーズが少ないスローガン
ちなみに過去の私の経験で、強みにしたけど、ニーズがなかった事例を以下に記載しますので、ご参考までにしていただければと思います。
- 楽しいレクリエーション
- ダメな理由:デイはレクリエーション以外のところの方が重要
- 経験豊富なスタッフ
- ダメな理由:低い離職率を打ち出したかったのだが、デイはやはり供給過多なのでそれだけでは弱すぎる
顧客のニーズが多いスローガン
また、市場ニーズも高いスローガンは以下のようなものありますので、参考にしてください。
- リハビリ関連のスローガン
- 困難ケース(※)を受け入れられる強みを謳ったスローガン
- 認知症ケア関連のスローガン
※困難ケース:身体機能の低下・認知症の進行・気性等が総合的に起因して、対処が難しい利用者のこと指している。他の利用者・スタッフとトラブルとなるケースも多いため、デイサービス側の本音としては、可能であれば受け入れたくない
一歩抜け出すチャンスをつかめ
デイサービスは介護事業の中では明確に集客の要素も必要となるため、非常に難しい事業です。
遠回りに見えるかもしれませんが、変な戦術に走る前にスローガンをしっかり決めましょう。
スローガンを決めて、しつこく従業員に浸透させて、顧客であるケアマネに理解していただく差別化戦略の徹底が必要になります。
また、スローガンがしっかりしている事業所はスタッフの定着も良い傾向があります。
スローガンのもと、プライドを持って働くことができるからです。
多くのデイサービスは基本的に「色々なんでもできます」というアピールしかしていませんので、今回ご紹介させていただいた方法をトライしていただいて、他のより頭一つ抜け出してもらえれば嬉しいです。
今回は主に集客について解説させていただきましたが、デイサービスの運営において、もう一つ重要なのは介護報酬制度の動向です。
実質マイナス改定が続く中で、今後どうなっていくのか?ということを以下の記事でまとめていますので、参考にしてみてください。
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